
今回のテーマは新政権が公約した電力税減税。
「すべての国民に負担軽減を!」
と新政権が公約した
「全国民対象の電力税減税」
ですが、見送られました。
その理由がえぐいので紹介します。
この記事の目次
高過ぎるドイツの電気代
ドイツに住んで
「肌で感じる」
のが高い電気代。
「日本の電気代も高いよ!」
という声が聞こえてきますが、
詳細はこちらを参照あれ!
原因は
- 行き過ぎた環境保護政策
- 送電線拡張費用の爆発
- 問題なく稼働している原発の廃炉
- 石炭発電所の廃炉
- 税金
と、実に根が深い。
行き過ぎた環境保護政策
日本では環境保護が
「ほぼ無視」
されている。
スーパーでは客がお菓子やお寿司まで無償のナイロン袋に入れた後、
「さらに袋を2回回して」
ナイロン袋を大量に持ち帰る。
ドイツでは10年以上も昔に、
「環境破壊の元凶」
としてナイロン袋は廃止されたのに、日本では
「おかしい。」
と思う人さえいない。
皆まで言えば、スーパーで買う
「お寿司」
に入っているギザギザのプラスチック。
ドイツでお弁当にあんな物を入れたら、
「もう二度と買わない!」
と顧客が怒ります。
日本では誰も文句を言わない。
このようにドイツでは環境保護への意識が高いのはいいのだが、工場や発電所に対して
「二酸化炭素税」
を課している。
おまけにこれが毎年、値上げ。
お陰で電気代は
「毎年」
高くなる。
一方、日本にはそもそも二酸化税がない。
送電線拡張費用の高騰
これがドイツの街の景色。

これが日本の街の景色。

どこが違うかわかりますか?
建物は別にして。
そう、電柱と送電線がドイツの街には(見え)ない。
地下に敷設しているからです。
が、これをすると費用がかさむ。
さらに今、
「電力革命真っただ中」
で、化石エネルギーから再生エネルギーに転換中。
その再生エネルギーの主力は、北海の洋上発電です。
ここで得た電気を工業地帯が集中する南部に送るために、高圧線の送電線の建造が急務。
これを地中に敷設するから、費用がかさむ。
その費用を電気代金に
「上乗せ」
するから、電気代が高くなる。
原発の廃炉
原発で発電する電気は安い。
その原発から出る放射能廃棄物の処理費用を度外視すれば。
日本では古い原発を廃炉にせず、政府は一方的に稼働期間を20年も延長。
なんと稼働期間60年ですよ!
次の原発事故が起きても不思議じゃない。
一方、ドイツでは建設から35年で原発を廃炉。
そりゃ~電気代高くなるよね!
石炭発電所の廃炉
原発の廃炉で
「足らない発電量」
に悩むドイツは
「不足分を補うガス発電所を建設」
する代わりに、石炭発電所を廃炉。
いわずもがな、二酸化炭素初出量削減の為です。
足らない電力はフランスや北欧から輸入。
そりゃ~電気代高くなるよね!
税金
その高い電気代にさらに税金がかかる。
これが2.05セント/kwh。
一人住まいの平均消費量は150Kh/月なので、毎月3ユーロ程度の税金を払う計算になる。
結果、ドイツの電気代は欧州で一番高い。
世界でも4番目に高い。
新政府の公約 電力税減税
とりわけ電気を大量に消費する製造業、とりわけ製鉄・製銅・ケミカル業界は虫の息。
「これでは赤字だ!」
と米国のケミカル大手DOWは、東ドイツの2工場の閉鎖を発表した。
このままでは国内の産業が死に絶えてしまう!
そこで新政府は連立協定書に、
「産業及び全国民を対象に、電力税減税を実施する。」
と書き込んだ。
電力税減税 新政権最初の公約破り
ところがである。
政府は2026年度の予算審議で、
「公約を実施できる財源がない。」
事を理由に、電力税減税の公約を反故にした。
もっとも
- 製造業
- 林業
- 農業
だけは例外で、電力税減税が行われる。
EUの規定で
「加盟国は最低、0.05セント/Kwhの電力税を課すべし」
とあるので、この最低レベルまで電力税が減税される。
電力税減税 公約を破った理由
えぐいのはここから。
新政府は
「50億ユーロの財源がないから。」
と、電力税減税の公約破りの理由を挙げている。
これが
「都合のいい嘘」
なんである。
というのも新政府はバイエルン政府(CSU)が主張する
“Mütterrente”(お母さん年金)
を拡充する。
これに年間、50億ユーロかかる。
そう、新政権はCSUの要望を満たすために、電力税減税の公約破りに踏み切った。
https://pfad.tech/blog/bundestagswahl_2025/
CSUは
「お母さん年金の拡充」
を訴えて、大勝した。
バイエルン州での大勝利がなければ、政府は議席の過半数獲得は不可能だったのだ。
そこでCDUのご機嫌を取るために、電力税減税は見送られた。
実に腹立たしいが、これが政治というもの。
果たしてこれで景気回復が達成できるのだろうか?



