
今、ドイツで 自動車部品メーカー が相次いで倒産している。
大手も軒並み
「人員削減」
を告知。
内、一社は倒産の間際で
「最後の戦い」
を繰り広げている。
今、何故、ドイツで自動車部品メーカーが死滅しているのだろう。
この記事の目次
自動車部品メーカー 死滅が止まらないのは何故?
ドイツでは
「2025年は自動車部品メーカーの倒産件数は50%増加する。」
と言われている。
すでに私が覚えているだけで
- WKW
- Eissmann
- iwis mechatronics
- Franken Guss
- Recaro Automotive
- Kick GmbH
などが倒産済み。
オランダやオーストリアにある自動車部品メーカー、名前が報道されない町工場を含めれば、倒産件数ははるかに上昇する。
厳しい経営環境にさらされているのは、大手も同じ。
自動車部品メーカー “Bosch”(ボッシュ)
世界最大の自動車部品メーカー
“Bosch”(ボッシュ)
は、何度も立て続けに解雇を発表。
が、そこは大企業。
「自動車部品ではもう稼げない。」
と悟ると
「シロクマ」
で有名な日立クーラー部門を買収。
すでに存在している家電部門を強化すると同時に、
”B2B”(企業への空調機販売)
を視野に入れた。
これから”AI”で
「高性能の空調機」
が大量に必要になるので、戦術上正しい選択だ。
“ZF-Friedrichshafen”(ツェットエフ フリードリヒスハーフェン)
数年前までは
「飛ぶ鳥を落とす勢い」
だったドイツで第二の自動車部品メーカー
“ZF-Friedrichshafen”(ツェットエフ フリードリヒスハーフェン)
は、
“der letzte Kampf”(倒産回避のための最後の戦い)
の真っただ中。
調子に乗ってライバルを次々と買収したのはいいが、赤字で首が回らない。
今、
「なたをふるって」
会社の規模を急遽、縮小中。
この緊急手術が間に合うかどうか、神のみぞ知る。
“Continental”(コンチネンタール)
ドイツで(今の時点では)第二の自動車部品メーカーが
“Continental”(コンチネンタール)
だ。
かっては
「タイヤメーカー」
だったのに、総合自動車部品メーカーに転換、大成功した。
が、それも昔話。
今はその
「自動車部品部門」
の採算悪化で苦しんでいる。
散々悩んだ挙句、自動車部品部門の独立上場を決定。
2025年10月に自動車部品部門は
“Aumovio”
という名前で上場される。
以降、コンチネンタールはフランスのミシュランをお手本に
「純粋なタイヤメーカー」
になる。
“Deutz”(ドイツ)
「世界最古のエンジンメーカー」
という一銭にもならないタイトルを持つデイーゼルエンジンの会社、
“Deutz”(ドイツ)
は、もう10年以上も前から
「鳴かず飛ばず」
の自転車操業を続けてきた。
このままでは倒産は避けられなかった。
そこで今、
「飛ぶ鳥を落とす勢い」
の軍事部門への参入を発表すると、株価が爆発した。

おそらく
「軍用トラック向けデイーゼルエンジン」
が一番手っ取り早いが、是非、戦車のエンジンも作ってもらいたい。
自動車部品メーカー Schäffler(シェフラー)
このドイツの成功に魅せられたのが、ユダヤ人追放後のドイツで
「残されたユダヤ系企業」
をただ同然で買収、戦争中はさまざまな兵器を製造していた
“Schäffler”(シェフラー)
だ。
コンチネンタールの親会社でもある。
今は自動車部品メーカーとして
「ドイツで4番目」
に大きい。
が、こちらも(自動車部品メーカーの)ドイツと同じく
「鳴かず飛ばず」
の自転車操業。
そこで社長が
「軍需部門への参入を考えている。」
発表。
お陰で株価は底値から急速に回復中。

なんでも
「軍用車両の自動運転とロボット化」
を目指すそうです。
そもそも
「自動車の自動運転装置」
を売っているので、軍事部門への転換は比較的容易。
頑張れ!
(株主の心の叫び)
自動車部品メーカー 四面楚歌
このように自動車部品メーカーが苦戦している主な理由は
- 自動車産業の構造変革
- 中国メーカーの台頭
- 周辺事情
です。
以下に解説します。
自動車産業の構造改革
今は内燃エンジンから電気自動車への転換期。
なのに日本人は、
「べらんめえ!」
と現実を見る事を拒否。
時代が戦艦から空母に移っているのに
「べらんめえ!」
と戦艦大和なんぞ
「無用の長物」
を製造した国だけのことはある。
ダチョウのように
そこまで頭が固くないドイツ人。
とっくの昔に電気自動車にシフトした。
問題はまだ電気自動車では
「金を稼げない。」
という点。
そこで内燃エンジン車と電気自動車の両方を製造しなくてはならない。
設備投資が2倍になり、金がかかる。
これが自動車メーカー、そして自動車部品メーカーの採算を悪化させている。
中国メーカーの台頭
わざわざ説明するまでもないですね。
中国メーカーが電気自動車市場を席捲中。
中国の電気自動車に部品を納めているのは、ほぼ中国メーカーです。
唯一の例外は、
「自動車向け半導体」
で世界一のシェアを誇る
“Infinion”
だけ。
ドイツの自動車部品メーカーは日に日に、
「市場占有率」
を落としています。
周辺事情
馬鹿に出来ないのがこの周辺事情。
というのもドイツの自動車部品メーカーは、ドイツ国内に工場を抱えている。
が、ドイツ人は平均して年間で22,4日も病欠する。
これに有給休暇(平均)の28.3日が加わる。
要するにドイツ人は年間、50,7日も休むわけです。
祝日をカウントすれば、ドイツ人が1年に働くのは10ヶ月未満です。
これに高いドイツの
- 人件費
- 電気代
- ガス代
- 役所への対応
が加わる。
フェラーリやエルメスのバックを製造するなら、それでも利益がでる。
しかし
「車部品」
のような利鞘の低い商品を製造していると、赤字になる。
だからドイツの自動車部品メーカーは、次々と倒産しています。
幸い、大手(ZFを除く)はまだ余力がある。
そこで国内の生産拠点を次々に閉鎖して、外国に工場を移転している。
自動車部品メーカーは来年になれば車の販売台数も回復して、
“Wendepunkt”(転換点)
になると期待している。
果たして?


