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遅延・欠航・スト ドイツ鉄道 社長クビに!

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遅延・欠航・スト ドイツ鉄道 社長クビに!

今回はあの超腹立つ会社 ドイツ鉄道の社長がクビになったお話です。

あ~嬉しい。

”nicht immer”(回数こそ少ないが)、

“aber immer öfter”(それでもちょくちょく)

天罰が下るのは、心地のいいものです。

以下に一部始終を紹介します。

スキャンダル会社 ドイツ鉄道の誕生

スキャンダル会社 ドイツ鉄道の誕生

訴えたいことが多過ぎて、どこから始めたらよいものか、、、

まずは

「諸悪の根源」

から始めます。

“Deutsche Bahn”(ドイツ鉄道)

の問題の始まりは、1994年まで遡ります。

当時、

  • “Reichsbahn”(東ドイツ鉄道会社)
  • “Bundesbahn”(西ドイツ鉄道会社)

が合併して、

“Die Deutsche Bahn AG”(ドイツ鉄道株式会社)が誕生。

ドイツ鉄道 諸悪の根源

これが諸悪の根源であると言われてます。

質問
何故?

 

合併前、社員は皆、国家公務員です。

まあ、そこそこいい給料をもらってたんです。

その国家公務員、とりわけ上層部を

「待遇のいいポジション」

につけるため無数の子・孫会社が作られました。

例えば、一口に

「ドイツ鉄道」

と言いますが、

  • 近距離鉄道
  • 遠距離鉄道
  • 貨物鉄道

は、別の会社なんです。

そこで電車を走らせるために、それぞれの会社から

「路線をレンタルするだけの会社」

までも創設。

さらに!

駅の経営は別の会社。

線路の運営・整備は別の会社。

電車の点検整備は別の会社。

そしてこの子会社の下に、また無数の孫会社があります。

これらの無数の子・孫会社の社長の椅子に、国鉄の上級国家公務員を就任させたんです。

 

お陰でドイツ鉄道の本社は

  • ベルリン
  • フランクフルト
  • マインツ

にあります。

競い合う子・孫会社

ドイツ人の気質が問題なのか、それとも組織とはそういうものなのか、無数の子会社・孫会社は

「競い合う構造」

なんです。

日本人は

「競い合う」

と聞くと

「切磋琢磨」

と勘違いして、いい意味に解釈をしがちです。

全くの逆です。

正確には

「足の引っ張り合い」

です。

数年前、ボロボロの路線を整備する為に、ドイツ政府が限られた予算からその資金を調達したんです。

が、何年経っても工事は一向に始まらない。

土木工事を委託すると

「おいしいキックバック(賄賂)」

が入ってきます。

日本でも川崎重工が、自衛隊員に賄賂を送ってましたよね。

ドイツでも同じで、おいしい仕事には

「島の取り合い」

がおきるんです。

ほぼ暴力団の抗争です。

この為、

“Bei der Bahn gibt es für alles eine Abteilung”(ドイツ鉄道には何事にも専門部署がある。)

と言われている。

客を客と思わない

消費者にとって一番腹が立つのがコレ、ドイツ鉄道は客を客と思わない事。

例。

「環境汚染対策」

を第一に考えた会社が、ドイツ鉄道に貨物列車の空きスペースを問い合わせます。

しかしその問い合わせは、数ケ月も無視されます。

誰も

「俺の仕事だ。」

とは思わないんです。

「放っておけば、誰かがやる。」

と無視するんです。

大口の顧客でこの様なので、個人客なんて

「ごみ」

のように扱われます。

私が通勤で使ってた”S-Bahn”(近距離電車)は、

「今日の電車はココで終わり。全員、降車せよ!」

とアナウンス。

勿論、理由の説明などはない。

会社に遅れたら、あなたの責任です。

ドイツ鉄道 大赤字

無駄な人材、とりわけ

「何もしない高給取り」

を多く抱えるドイツ鉄道は、当然

「万年赤字」

です。

まあ、日本でも

「国鉄時代」

は大赤字だったから仕方がない。

2025年は1月から6月末までに、7億600万ユーロの赤字を計上。

参照 : tagesschau.de

 

日本円で1300億円の赤字。

ざっくり言えば、楽天の赤字額に相当。

楽天と違って問題なのは、

「過去最高の利用客数」

を記録したのにこの赤字なんです。

言い換えれば、黒字するのは無理な会社です。

遅延・欠航・スト ドイツ鉄道 社長クビに!

まあ、そんなドイツ鉄道の

「ていたらく」

は、今始まったものじゃない。

ここでも10年も前から、繰り返し

ドイツ鉄道のスキャンダル

を取り上げてきた。

https://pfad.tech/blog/db-alt-neu/

なのに2025年8月、交通大臣はドイツ鉄道の社長のクビをメデイアの前で堂々と告知した。

 

一体、何がこの解約劇の引き金になったのだろう?

世界に知らしめたドイツの赤っ恥

その原因は2024年にドイツで開催されたサッカーのヨーロッパカップだった。

ドイツ鉄道は

「いつも通り」

遅れに遅れ、2時間遅れなどは当たり前。

世界中からやってきた観光客が、

「遅延するドイツ鉄道のありのままの姿」

をネットに上げた。

これでドイツは世界中で笑い物になり、政府は大いに面子を失った。

2年前、国防大臣がクビになったのも同じ理由、彼女がネットに上げたぶざまな姿だった。

https://pfad.tech/blog/ruecktritt_lambrecht/

ドイツ人には意外にも、

「面子を失う。」

を日本人と同様に、深刻に受け止めるようだ。

悪化を続ける電車の定刻到着率

電光掲示板 遅延する電車

社長のルッツ氏が今、クビになったもうひとつの理由がある。

2年前、ルッツ氏は

ドイツ鉄道の役員のボーナスは、ドイツ鉄道の時間通りの運行に比例する。」

と公言した。

https://pfad.tech/blog/db-abspaltung/

結果、遅延率はさらに悪化した。

2025年7月、

時間通りに到着した長距離電車は全体の56.1%だった。

 

ところが本当の数字はもっと悪い。

この数字には、欠航した電車を遅延率に含んでいないのだ。

ドイツ鉄道はその理由を聞かれて、

「そもそも走っていないのだから、遅延には当たらない。」

と、しゃあしゃあと言う。

又、遅延とは

「5分以上遅れた場合」

にのみ遅延となる。

でも、これではボーナスが(本当に)減ってしまう!

そこで取締役員は、基本給アップを取締役員会で決定。

ドイツ鉄道、本当にどうしようもない会社です。

ドイツで

“Der Fisch stinkt vom Kopf”(魚は頭から腐る)

と言う通り、ドイツ鉄道の癌は上層部にあります。

堪忍袋の緒が切れる!

ドイツ政府、正確には交通大臣は

「これらの言い訳」

に堪忍袋の緒が切れた。

そもそもドイツ鉄道は公式には、

「株式会社」

であるから人事は取締役会でのみ決定される。

もっともそれはあくまでも形の上。

ドイツ鉄道の株式を100%所有しているのは、ドイツ政府である。

よく、わずか5~6%の株式を所有した

「物言う株主」

が社長の解任を求めていますよね。

これが100%の株式を所有する株主なら、取締役会を無視して人事を決定できます。

一応、体裁を保つ為、取締役会を開いて政府の決定を

「事後承認」

しますけどね。

ドイツ鉄道 これで良くなる?

ドイツ鉄道社長解任の知らせに、

「溜飲が下がる。」

とはこの事。

もっとも社長をクビにしても、

ドイツ鉄道の根本的な問題は何一つ解決しない。

 

誰が社長になっても、結果は変わらない。

言うなればドイツ鉄道の社長職は、

“Himmelfahrtskommando”(特攻任務)。

最初から失敗することはわかっている。

なのに、

「社長になってもいい。」

という人物を見つけるのは容易くない。

もっともドイツ鉄道の社長の年俸は邦貨で4億円。

 

もしドイツ語ができたら、あなたも立候補してみては?

どうせ誰が社長になっても同じです。

通常の任期は4年間。

もし1年でクビになると、

「年俸保険」

が、残り3年の年俸を払ってくれます!

16億円あれば、死ぬまで豪華に生活できますよ!

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執筆者:

nishi

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